兄弟仲が良い家族ほど、遺言を迷うことがあります。
遺言の話になると、「うちは兄弟仲が良いから大丈夫です」そう言われることがあります。
実際、とても仲の良いご家族もたくさんあります。
子ども同士で連絡を取り合い、お盆やお正月には家族が集まり、大きな揉め事もなく過ごしてきた。
親としては、それが何よりうれしいことです。
だからこそ、遺言を書くことに迷いが生まれることがあります。
不思議に思われるかもしれません。
しかし実際の相談現場では、兄弟仲が良い家族ほど、親が決断できなくなることがあるのです。
理由は単純です。今の良い関係を壊したくないからです。
例えば、介護をしてくれた子に少し多く残したい。
同居してくれた子に自宅を承継してほしい。
そんな気持ちがあったとしても、「他の子が嫌な思いをしないだろうか」という不安が出てきます。
そして、「みんな仲良くしているのだから、わざわざ波風を立てなくてもいいのではないか」と思ってしまうのです。
しかし、ここで考えていただきたいことがあります。
遺言を書くことは、関係を壊すためではありません。
むしろ、良い関係を守るためのものです。親が元気なうちに考えを残しておけば、子ども達は「親はこう考えていたんだな」と受け止めることができます。
反対に、何も残っていないと、残された家族が考えるしかありません。そして、想像は時として誤解を生みます。仲が良い家族だからこそ、親の考えを残しておく意味があります。
それは、家族を疑うためではなく、家族を信頼しているからこそ行う準備なのだと思います。
次回は、
「まだ元気だから大丈夫」という言葉について考えてみたいと思います。

