平等と公平は違う

― 親が最後まで悩み続ける理由

遺言の相談を受けていると、親御さんから最も多く聞く言葉があります。
それは、
「みんな同じにした方がいいですよね」という言葉です。

確かに、子どもが複数いる場合、平等に分けることは一つの分かりやすい方法です。
誰かが得をした、誰かが損をした、そう思われにくいからです。
ところが、
話を聞いていくと、親御さんの心の中には、別の思いが見えてきます。

長男は長年近くで暮らし、困った時には助けてくれた。
長女は遠方にいるが、毎週のように電話をくれる。
次男は独立して頑張っているが、経済的には少し心配だ。

それぞれ事情が違う。それぞれ感謝している。

だからこそ、「同じにすれば本当に良いのだろうか」という迷いが生まれます。
ここで考えたいのが、平等と公平の違いです。
平等とは、同じ割合で分けることです。

一方、公平とは、それぞれの事情を考慮した結果として、親が納得できる形を選ぶことです。

どちらが正しいという話ではありません。

ただ、
親御さんの多くは、平等にしたい気持ちと、事情を考慮したい気持ちの間で揺れています。

そして、

その答えが出ないまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。
私は相談の場で、「正解を探さなくてもいいですよ」とお伝えしています。
遺言に必要なのは、完璧な答えではありません。

今の自分が、なぜそう考えるのか。その理由を整理することです。

親が決めた結論には、必ずその人なりの人生があります。
大切なのは、平等か公平かではなく、自分の言葉で残すことなのかもしれません。

次回は、
「あの子に多く残したら嫌われるだろうか」という、親が抱える見えない不安について考えてみます。