子どもは「書いてほしい」
親は「決められない」
― 次の10回を書く前に
ここまで10回にわたり、「親に遺言を書いてほしい」と思っている子ども側の視点からお話をしてきました。
遺言は、親が元気なうちに残しておくことが大切です。
状況が変われば書き直すこともできます。
だからこそ、まずは親の言葉で残しておくことに意味があります。
これは今でも変わらない考えです。
実際、相談の現場でも、「もっと早くお願いしておけばよかった」という声を耳にすることがあります。
一方で、このシリーズを書きながら、ずっと考えていたことがあります。
それは、「親はなぜ遺言を書かないのだろう」ということです。
もちろん、必要性を知らない方もいます。
まだ先のことだと思っている方もいます。
しかし、相談に来られる親御さんのお話を聞いていると、どうもそれだけではないように感じるのです。
遺言が必要なことは分かっている。
家族に迷惑をかけたくないとも思っている。
それなのに、なかなか決められない。なかなか書き始められない。
その理由を聞いていると、財産の話よりも、子どもの話が出てくることが少なくありません。
「あの子にも世話になった」
「この子にも苦労をかけた」
「みんな大切なんだ」
そんな言葉をたくさん聞いてきました。
そして私は、あることに気付きました。
親は最後まで親なのだということです。
子どもが50歳になっても、60歳になっても、親にとっては大切な子どもです。
だからこそ、誰かを傷つけたくない。
誰かを悲しませたくない。
兄弟仲が悪くなってほしくない。
そう思うあまり、決められなくなってしまうことがあります。
子どもから見ると、「どうして決めてくれないのだろう」と思うかもしれません。
しかし、親から見ると、「みんな大切だから決められない」ということもあるのです。
次の10回は、
そんな親御さんの気持ちについて書いてみたいと思います。
遺言が必要なことは分かっている。
それでも迷う。
それでも決められない。
そんな親の心の中を、相談現場で感じてきたことを交えながらお伝えします。
シリーズ後半のタイトルは、
「親は最後まで親でした― 子どもを想う親の遺言」です。
もし今、
遺言を書こうか迷っている方がいらっしゃるなら、ぜひ読んでいただければと思います。


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