「あの子に多く残したら嫌われるだろうか」

― 親が抱える見えない不安

遺言の話になると、多くの親御さんが口には出さない不安を抱えています。

それは、
「子ども達が仲違いしてしまわないだろうか」という不安です。
財産の話をしているようでいて、本当に心配しているのはお金ではありません。

家族関係です。

例えば、介護をしてくれた子に少し多く残したい。
同居してくれた子に自宅を承継してほしい。
経済的に苦労している子を少し助けてあげたい。

そう思うことは決して珍しくありません。

しかし、
その気持ちがある一方で、「他の子がどう思うだろう」という不安も生まれます。

そして、
「あの子に多く残したら、もう一人の子に嫌われるかもしれない」そう考えてしまうのです。

親は、財産を分けることよりも、子ども達の関係が壊れることを恐れています。

だから、
決められなくなるのです。

実際には、理由がきちんと伝われば理解されることも少なくありません。

問題は、理由が分からないことです。

なぜそうしたのか。
どんな思いがあったのか。

そこが見えないと、残された側は想像するしかありません。
想像は時として、誤解を生みます。

だからこそ、
遺言には付言が大切なのです。
金額や割合だけではなく、親の気持ちを残しておく。

それだけで、受け止め方が大きく変わることがあります。

親は最後まで親です。

財産を残したいのではなく、子ども達に仲良くいてほしい。
その願いが、遺言を書く手を止めてしまうこともあるのです。

次回は、

親が本当に恐れているものについて、もう少し深く考えてみます。