遺言は家族への最後の思いやり 「今のうちに、親の言葉で残す」ということ

 このシリーズでは、親に遺言を書いてほしいと思う子どもの気持ちと、子どものことを考え過ぎて決められない親の気持ち、その両方について考えてきました。

 振り返ってみると、どちらも出発点は同じです。
 家族を大切に思う気持ちです。
 子どもは、親が亡くなった後に困らないようにしたい。
 親は、子ども達に迷惑をかけたくない。
 どちらも相手を思っています。

 だからこそ、遺言の話は難しくなります。
 お金の話に見えて、本当は家族の話だからです。

 これまでの相談の中で、私はたくさんの親御さんとお会いしてきました。
 そして感じることがあります。
 遺言を書こうとしない人はいても、家族を大切に思っていない人には、
ほとんど出会ったことがありません。

 多くの方は、家族を大切に思うからこそ迷い、大切に思うからこそ決められず、大切に思うからこそ先延ばしになっています。
 しかし、時間は待ってくれません。だからこそ、完璧な答えを探し続けるのではなく、今の自分が考えていることを、今の言葉で残しておくことが大切です。

 遺言は書き直すことができます。

 状況が変われば見直すこともできます。

 だから、最初から完璧である必要はありません。まずは、今の気持ちを残してみる。そこから始めれば十分です。
 親の意思は親のものです。子どもが決めるものではありません。
 子どもにできることは、話を聞くこと。場を作ること。そして、親の考えを尊重することです。

 もしこのシリーズを読んで、少しでも「そろそろ考えてみようかな」と思っていただけたなら、それだけでうれしく思います。

 遺言は財産を分けるためだけのものではありません。家族への最後の思いやりであり、自分らしい人生を締めくくるための大切なメッセージです。

そして何より、今のうちにしか残せない、あなた自身の言葉なのです。